広告の成果が伸びなくなったとき、入札や予算の調整だけで解決しようとすると、費用ばかりが増えてしまうことがあります。成果が頭打ちになる原因は、配信の設定よりも手前にあることが少なくありません。この記事では、いったん立ち止まって見直したい5つのポイントと、見直しを進めるときの順番を整理します。
広告の成果が頭打ちになったときに見直す5つのポイント
平垣内 航Zacoo株式会社 代表取締役
CONTENTS 目次
01成果が頭打ちになるのはなぜか
広告を始めたばかりの頃は、反応の良い層に届きやすく、成果も伸びやすい傾向があります。ところが配信を続けて規模を広げていくと、少しずつ反応の薄い層にも広告が届くようになります。
その結果、クリック率や成約率が下がり、1件の成果を得るための費用が上がっていきます。ここで予算や入札額を上げると、一時的に件数は増えても、費用の効率はさらに下がることがあります。
成果が頭打ちになったときは、「もっと配信する」前に、「誰に、何を、どう届けているか」という前提を見直すことが大切です。
よくある「頭打ち」のサイン
次のような変化が続いているときは、配信の前提を見直すタイミングです。
- 予算を増やしても、成果の件数がほとんど増えない
- 1件の成果にかかる費用が、少しずつ上がり続けている
- クリック数は変わらないのに、申し込みや購入が減っている
- 新しい広告を出しても、以前のような反応が得られない
こうした変化は、急に起きるというより、数か月かけてゆっくり進むことがほとんどです。週ごとや月ごとの推移を並べて見ると、気づきやすくなります。
設定の調整だけでは解決しにくい理由
広告の管理画面には、入札の方法や配信先、時間帯など、調整できる項目がたくさんあります。そのため、成果が落ちると設定を細かく変えたくなります。
ただ、設定の調整で改善できるのは「今の前提の中での効率」です。届けたい相手や、伝えている内容そのものがずれている場合は、どれだけ設定を工夫しても大きな改善にはつながりません。
POINT 数字が悪化したときほど、設定を細かく触る前に、配信の前提が今も正しいかを確かめます。
02ポイント1:誰に届けたいのかを言葉にする
ターゲットがあいまいなまま配信を広げると、反応の薄い層にも費用が使われます。まずは「誰の、どんな悩みに応える広告か」を一文で書き出します。
年齢や性別だけで決めない
ターゲットを年齢・性別・地域だけで考えると、同じ条件でも悩みや目的が違う人がまとめて対象になります。「どんな状況で、何に困っている人か」まで言葉にすると、広告の内容も配信先も決めやすくなります。
成約した人から逆算する
すでに成果が出ている場合は、実際に申し込みや購入をした人の特徴を振り返ります。
- どの広告・どのキーワードから来た人か
- どのページを見てから申し込んだか
- 問い合わせの内容や、営業担当が聞いた悩みは何か
広告の管理画面の数字だけでなく、営業や接客の現場で聞いた声もあわせて見ると、ターゲット像がはっきりします。
「届けない相手」も決めておく
ターゲットを決めるときは、届けたい相手だけでなく、届けなくてよい相手も考えておきます。たとえば、法人向けのサービスなのに個人の利用を探している人、対応していない地域の人などです。
こうした相手を配信の対象から外したり、広告の文章で対象をはっきり書いたりするだけでも、無駄なクリックを減らせます。
ターゲットは定期的に見直す
市場や競合の状況、自社の商品やサービスの内容は、時間とともに変わります。以前は反応の良かった層が、今も同じとは限りません。半年に一度など時期を決めて、成約した人の特徴を振り返り、ターゲットの一文を書き直す機会をつくっておきます。
03ポイント2:広告とランディングページの内容をそろえる
広告で伝えた内容と、クリック後のページの内容がずれていると、離脱が増えます。
たとえば、広告では「初回限定の特典」を打ち出しているのに、ページを開くと特典の説明が下のほうにしかない。こうしたずれがあると、ユーザーは「思っていたページと違う」と感じて離れてしまいます。
確認したい3つの点
- 広告の見出しと、ページの最初の画面で同じ言葉を使っているか
- 広告で約束した内容(特典・価格・対象など)が、すぐに見つかるか
- 申し込みまでの手順が分かりやすく、入力の負担が大きすぎないか
広告ごとにページを分けることも考える
訴求の違う広告を、すべて同じページに集めていることもよくあります。訴求ごとに最初の画面を変えるだけでも、広告とページの一貫性は高まります。
スマートフォンで実際に見てみる
広告から届く人の多くは、スマートフォンでページを見ています。担当者がパソコンで確認しているだけだと、文字の小ささ、読み込みの遅さ、申し込みボタンの見つけにくさに気づきにくくなります。
自分で広告をクリックしたつもりで、スマートフォンからページを開き、申し込みの直前まで進めてみます。途中で「面倒だ」と感じたところが、離脱の起きやすいところです。
04ポイント3:クリエイティブを定期的に入れ替える
同じ広告を見続けると、反応は少しずつ下がります。広告の画像や文章(クリエイティブ)は、定期的に入れ替える前提で運用します。
訴求の切り口を変える
色やレイアウトだけを変えた案ばかりでは、反応の違いが出にくくなります。入れ替えるときは、伝える内容そのものを変えた案を用意します。
| 切り口 | 伝える内容の例 |
|---|---|
| 悩み | 「こんなことで困っていませんか」 |
| 解決後の姿 | 使った後にどう変わるか |
| 根拠 | 実績、仕組み、選ばれている理由 |
| 手軽さ | 始めやすさ、費用、手間の少なさ |
1回に変えるのは1つだけ
複数の要素を同時に変えると、どの変更が効いたのか分からなくなります。比べたい要素を1つに絞り、順番に試していくと、次の改善につながる学びが残ります。
試した結果を記録に残す
クリエイティブの入れ替えを続けていると、「以前にも同じような案を試した気がする」ということが起きます。担当者が変わると、なおさらです。
試した案、配信した期間、結果、そこから分かったことを、簡単な一覧に残しておきます。「悩みの訴求は反応が良かったが、手軽さの訴求は成約につながりにくかった」といった学びがたまると、次の案を考えるときの手がかりになります。
05ポイント4:計測が正しく取れているか確かめる
コンバージョン(申し込みや購入などの成果)の計測が漏れていると、正しく判断できません。成果が落ちたように見えて、実は計測の設定が崩れていた、ということもあります。
見直したい計測の項目
- 計測用のタグが、成果の発生するページに正しく設置されているか
- サイトの改修やページの追加で、タグが外れていないか
- 同じ成果が二重に数えられていないか
- 電話や来店など、Web以外の成果をどう扱っているか
「何を成果とするか」もそろえる
広告の管理画面、アクセス解析、社内の売上管理で、成果の定義が違っていることがあります。数字が合わないまま議論を続けると、判断を誤る原因になります。どの数字を正とするのかを、関係者で決めておきます。
申し込みの「その後」まで追う
広告の成果を申し込みの件数だけで見ていると、件数は多くても商談や購入につながらない広告を評価してしまうことがあります。
申し込みのあと、実際に商談に進んだか、契約や購入に至ったかまで追えると、本当に成果につながっている広告が見えてきます。営業の管理表と広告の数字をつなげるのが難しい場合も、月に一度、広告ごとの申し込みのその後を確認するだけで判断の精度は変わります。
POINT 計測の確認は、配信の見直しより先に行います。土台の数字が正しくなければ、どの改善策も判断できません。
06ポイント5:広告以外の流入とあわせて見る
検索やSNSなど、広告以外の流入もあわせて見ると、広告が担うべき役割がはっきりします。
たとえば、すでに検索から多くの人が来ている商品に広告を出すと、広告がなくても来ていた人にまで費用を使っている可能性があります。反対に、まだ知られていない商品では、広告が最初の接点として大きな役割を担います。
流入ごとの役割を整理する
- 検索(自然検索):すでに関心がある人が、自分で探して来る
- SNS:日常の中で、商品やブランドを知ってもらう
- 広告:届けたい相手に、狙ったタイミングで届ける
広告だけを切り離して見るのではなく、サイト全体の流入の中で広告が何を担うのかを決めると、予算の配分も判断しやすくなります。
「最後のクリック」だけで評価しない
多くの人は、一度広告を見ただけで申し込むのではなく、SNSで知り、検索で調べ、比べてから申し込みます。最後にクリックした広告だけを成果として数えると、最初のきっかけをつくった広告やSNSの役割が見えにくくなります。
成果に至るまでに、どの接点を通ってきたのかをあわせて見ると、「成果の件数は少ないが、きっかけづくりに役立っている広告」を誤って止めてしまうことを防げます。
広告に頼りすぎない状態をつくる
検索やSNSからの流入が育つと、広告に使う費用を抑えながら、全体の成果を保ちやすくなります。広告で得た反応の良い訴求を記事やSNSの発信に活かすなど、流入どうしをつなげて考えることも大切です。
07見直しを進めるときの順番
5つのポイントは、次の順番で見直すと進めやすくなります。
- 計測が正しく取れているかを確かめる
- 誰に届けたいのかを言葉にする
- 広告とランディングページの内容をそろえる
- クリエイティブを入れ替えて試す
- 広告以外の流入とあわせて、広告の役割と予算を決める
最初に計測を確かめるのは、その後の判断の土台になるからです。ターゲットとページの見直しは、クリエイティブの改善よりも影響が大きいことが多いため、先に取り組みます。
一度にすべてを変えない
5つのポイントをまとめて見直すと、どの変更が効果につながったのかが分からなくなります。ひとつ見直したら、結果が出るまでの期間を置いてから次に進みます。遠回りに見えても、何が効いたのかが分かるほうが、次の改善につながります。
社内だけで進めるのが難しいとき
見直しには、広告の運用だけでなく、ページの改善や計測の設定、営業との連携など、幅広い作業が関わります。Zacooでは、これまでに40社以上の支援と、10億円以上の広告運用に携わってきました。自社でも月間1,000万PVを超えるWebサイト・SNSを運用しており、その中で得た知見を支援に活かしています。
まとめ
広告の成果が頭打ちになったときは、入札や予算を動かす前に、配信の前提を見直します。
- ターゲット:誰の、どんな悩みに応える広告かを一文で言えるか
- 一貫性:広告とページで、同じ言葉と約束を伝えているか
- クリエイティブ:訴求の切り口を変えた案を、順番に試しているか
- 計測:成果の数字は正しく取れているか
- 全体の流入:広告が担う役割は決まっているか
この5つを見直すと、次に打つ手が見えてきます。どこから手をつけるべきか迷ったときは、お気軽にご相談ください。


