コンサルティングファームへの転職を考えるとき、多くの方が気にするのは「未経験でもついていけるか」という点です。業界の知識や専門用語は入社後に身につけられることも多い一方で、仕事の進め方の違いに戸惑う方は少なくありません。この記事では、コンサルタントの仕事の進め方の基本と、転職前にできる準備を順番に紹介します。
未経験からコンサルタントへ。転職前に知っておきたい仕事の進め方
平垣内 航Zacoo株式会社 代表取締役
CONTENTS 目次
01コンサルタントの仕事は「相手の判断を助けること」
コンサルタントの仕事を一言で表すと、クライアントが判断し、行動できるように支えることです。戦略の立案、業務の見直し、システム導入の支援など、テーマはプロジェクトによってさまざまですが、どの仕事にも共通しているのは「相手が決められる状態をつくる」という目的です。
事業会社で働いていると、決められた業務を正確に進めることが評価の中心になる場面も多いと思います。コンサルティングの仕事では、それに加えて「何を決めるべきか」「そのために何が分かればよいか」を自分から考える姿勢が求められます。
よくあるプロジェクトの流れ
| 段階 | 主にやること |
|---|---|
| 現状の把握 | ヒアリング、資料やデータの確認、業務の観察 |
| 課題の整理 | 問題の原因を分解し、優先順位をつける |
| 打ち手の検討 | 解決策の案を出し、効果や実現性を比べる |
| 実行の支援 | 計画づくり、進み具合の確認、定着の支援 |
すべての段階を一人で担うわけではなく、チームの中で役割を分けて進めるのが一般的です。未経験で入社した場合は、現状の把握や資料の作成など、決まった範囲の作業から任されることが多いでしょう。
未経験の方が最初に戸惑いやすいこと
前の職場とのいちばん大きな違いとして挙がりやすいのが、仕事の答えがあらかじめ用意されていない点です。マニュアルや前例が少なく、「何をすべきか」から自分で考える場面が多くなります。また、プロジェクトごとにお客様もテーマも変わるため、数か月単位で新しい業界や業務を学び直すことも珍しくありません。
こうした環境は大変に感じる一方で、短い期間にさまざまな業界や課題に触れられるという面もあります。変化を前向きに楽しめるかどうかは、コンサルタントとして続けていくうえで大切な要素の一つです。
02結論から話す
コンサルタントの仕事は、限られた時間で相手に判断してもらうことの連続です。クライアントの経営層や部門の責任者は忙しく、説明に使える時間は長くありません。そのため、報告や提案では、まず結論を伝え、そのあとに理由と根拠を続けるのが基本です。
たとえば上司に進み具合を報告するときも、「〇〇の件は予定どおり進んでいます。ただし1点だけ確認したいことがあります」と先に要点を伝えると、相手は次に何を聞けばよいかがすぐに分かります。経緯を順番に話してから最後に結論を伝える話し方は、丁寧に見えても、相手に考える負担をかけてしまいます。
結論が決められないときは
「まだ結論が出ていない」という場面もあります。その場合も、「現時点では〇〇の可能性が高いと考えています。確定させるために、あと△△を確認します」のように、今の時点での見立てと次の行動を伝えます。結論がないことを伝えるのではなく、「どこまで分かっていて、何が分かっていないか」を整理して伝えることが大切です。
POINT 「結論 → 理由 → 根拠 → 次の行動」の順番で話す練習は、今の職場でもすぐに始められます。日々の報告やメールで意識してみましょう。
03仮説を持って調べる
情報をすべて集めてから考えるのではなく、「おそらくこうではないか」という仮説を先に置き、それを確かめるために調べます。これを仮説思考と呼びます。
仮説を持たずに調べ始めると、集める情報の範囲が広がり続け、時間だけが過ぎてしまいます。反対に、仮説があれば「何を確かめれば正しいと言えるか」が明確になり、必要な情報に絞って動けます。
仮説を立てるときの考え方
- 今ある情報から、いちばんありそうな答えを一つ決める
- その答えが正しいとしたら、何が見えるはずかを考える
- 確かめるために必要なデータやヒアリングを洗い出す
- 外れていたら、分かったことをもとに仮説を立て直す
仮説が外れることは失敗ではありません。早く外れが分かれば、そのぶん早く正しい方向へ進めます。大切なのは、完璧な答えを待つより、まず動き出すことです。
例:問い合わせが減っている理由を調べる
たとえば「Webサイトからの問い合わせが減っている」という相談を受けたとします。仮説を持たずに調べると、サイトのアクセス、広告、競合、営業の対応など、あらゆる情報を集めることになります。
一方で、「最近サイトの入力フォームを変えたので、途中でやめる人が増えたのではないか」という仮説を置けば、まず確認すべきはフォームの入力完了率の変化です。数字が変わっていなければ別の仮説に移ればよく、調べる順番がはっきりします。
04課題を分解して考える
大きな問題は、そのままでは手をつけにくいものです。「売上が伸びない」という問題であれば、「新しいお客様が増えていないのか」「既存のお客様が離れているのか」「1回あたりの購入金額が下がっているのか」というように、要素に分けて考えます。
このように課題を分解すると、どこに原因がありそうかを絞り込みやすくなり、チームで作業を分担するときにも役立ちます。分けるときは、漏れや重なりがないように意識するのがポイントです。
最初からきれいに分けられる人はほとんどいません。紙に書き出して、上司や同僚と見せ合いながら直していくうちに、少しずつ型が身についていきます。
| 分け方の例 | 分けた要素 |
|---|---|
| 売上を要素で分ける | 顧客の数 × 購入の回数 × 1回あたりの金額 |
| 業務を流れで分ける | 受付 → 確認 → 対応 → 報告 |
| 原因を立場で分ける | お客様側の理由 / 自社側の理由 / 市場の変化 |
どの分け方が正しいということはなく、目的に合わせて選びます。原因を探したいのか、改善の打ち手を考えたいのかによって、適した分け方は変わります。
05資料は相手の判断のために作る
資料づくりに時間がかかりがちですが、目的は見栄えのよい資料を作ることではなく、相手が判断できる材料をそろえることです。
資料を作るときに意識したいこと
- 1枚で伝えたいことは1つに絞る
- ページの上部に、そのページの結論(メッセージ)を一文で書く
- グラフや表は、メッセージを裏づけるものだけを載せる
- 読み手が誰で、何を決めたいのかを最初に確認する
作り始める前に、ページごとのメッセージだけを並べた骨組みを作り、上司に確認してもらうと手戻りが減ります。いきなり細部まで作り込むより、全体の流れを先に合わせるほうが、結果的に早く仕上がります。
また、資料は自分が説明しなくても伝わるように作ることを意識しましょう。会議のあとに資料だけが社内で回覧されることも多く、口頭の補足がなくても読み手が理解できるかどうかが問われます。
06チームで進めるための報告・連絡・相談
コンサルティングの仕事は、多くの場合チームで進みます。メンバーの作業が少しでも遅れると、全体の予定に影響が出ることもあります。そのため、こまめな報告と早めの相談が大切にされます。
特に未経験で入社したばかりの時期は、分からないことを一人で抱え込まないことが重要です。「どこまで考えたか」「どこで迷っているか」をまとめてから相談すると、相手も助言しやすくなります。考える時間の目安を決めて、それを過ぎたら相談する、というルールを自分の中で持っておくのもよい方法です。
お客様とのやり取りで気をつけたいこと
お客様と直接やり取りする場面では、約束した期限を守ること、分からないことをその場で無理に答えないことが信頼につながります。即答できない質問には「確認して、〇日までにご連絡します」と伝え、必ずその期限内に返しましょう。
また、お客様の社内には、立場や考え方の異なる多くの関係者がいます。誰がどんな判断をするのか、誰に何を共有しておくべきかを意識して動くことも、プロジェクトを円滑に進めるうえで欠かせません。
POINT 相談するときは「〇〇について、AとBの案を考えました。Aが良いと思いますが、△△の点で迷っています」のように、自分の考えを添えて伝えましょう。
07転職前にできる準備
仕事の進め方は、入社してから身につく部分も大きいですが、転職前から準備できることもあります。
今の仕事の中で練習する
- 報告やメールを結論から書く
- 担当している業務の課題を、自分なりに分解して書き出してみる
- 会議の前に「この会議で何が決まればよいか」を考えておく
これまでの経験を言葉にする
面接では、これまでの経験の中で「どんな課題に対して、何を考え、どう動き、どんな結果になったか」を聞かれることが多くあります。営業、企画、エンジニア、マーケティングなど、どの職種の経験でも、課題に向き合った経験は強みとして伝えられます。
自分では当たり前だと思っている経験が、評価されるポイントになることもあります。一人で整理するのが難しい場合は、第三者と話しながら振り返ると、伝えるべき点が見えやすくなります。
面接で問われやすいこと
コンサルティングファームの選考では、志望動機や経歴に加えて、論理的に考える力を確かめる質問やケース面接が行われることがあります。ケース面接では、正しい答えを出すことよりも、前提を確認し、課題を分解し、筋道を立てて考えを説明できるかが見られています。
対策としては、身近なテーマで「この店の売上を伸ばすにはどうするか」といった問いを立て、考えを声に出して整理する練習が役立ちます。一人で練習するより、誰かに聞いてもらい、分かりにくかった点を指摘してもらうほうが上達は早くなります。
ファームや部門の違いを知る
コンサルティングファームといっても、戦略、業務・IT、人事、財務など、得意とする領域や働き方はファームや部門によって異なります。どの領域で、どのような立場で関わりたいのかを考えておくと、応募先を選びやすくなります。
入社後の最初の数か月で意識したいこと
入社してすぐの時期は、成果を急ぐより、仕事の型を覚えることを優先しましょう。上司や先輩の資料の作り方、会議の進め方、お客様とのやり取りをよく観察し、良いと思ったものを真似してみることが近道です。
また、受けた指摘はメモに残し、同じ指摘を繰り返さないようにすると、周りからの信頼も積み上がっていきます。分からないことを素直に聞ける人ほど、立ち上がりが早い傾向があります。
まとめ
未経験からコンサルタントを目指すときに大切なのは、業界の知識よりも、仕事の進め方の型を理解しておくことです。結論から話す、仮説を持って調べる、課題を分解する、判断のための資料を作る、チームで早めに相談する。どれも今の職場で練習を始められることばかりです。
Zacooの人材紹介は、コンサルティング・AI・テック・マーケティングの3つの職種に特化しています。コンサルティングファームへの転職を考えている方、これまでの経験をどう伝えればよいか迷っている方は、無料のキャリア相談でお気軽にご相談ください。求人の背景やファームごとの違いも含めて、一緒に次の一歩を考えます。


